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活動情報
2017/10/18
2017年度 第2回学術技術交流会・夏季研修会報告 9月26日(火)・27日(水) 東北大学、南三陸町

 2017年9月26日に東北大学にて第2回学術技術交流会、翌27日に宮城県南三陸町において見学会を開催しましたので紹介します。


1.学術技術交流会(13:00〜18:00)出席17名
(1)基調講演

「環境価値としてのリサイクル」

東北大学大学院環境科学研究科長 吉岡敏明 教授


プラスチックはその約8割がリサイクルされていますが、多くは燃料として焼却されているのが現状で、材料としてのリサイクルはPET樹脂等の一部に限られています。今後、更にリサイクルを促進させプラスチックの環境価値を高めるには、製造業者、処理業者、消費者が協力して資源循環を促進させることが重要になります。そのために現在研究している塩ビ材の脱塩素処理やフィルムからの金属回収等の最新技術を紹介していただきました。


吉岡教授による基調講演

(2)賢材研究会からの発表

「脳とテクノロジー、シンギュラリティ(AI)の本質とは?」

賢材研副会長 東北大学名誉教授 石田秀輝

 2030年には日本の世帯数が減少し始め、2045年にはAIが人間の知能を超えることが予想される中で、地球環境の劣化や物質的消費欲求の低下は着実に進行しています。その解決策として、快適性・利便性を求める依存型社会から自立型社会への移行を提唱しています。そのためにはまず人間の脳の構造や機能を理解したうえで我々の行動や思考の本質を考察していくべきである、という新たな研究の方向性をわかりやすく説明していただきました。

 

「塑性変形しない組成へのセラミックス固相発泡法の適用」

岡山大学工学部 教授 岸本 昭

 気泡を含むセラミックス多孔体は、耐熱性のある強度の高い断熱材として有用ですが、既往の方法では高い気孔率を保持するため焼結を途中で中断させる必要がありました。新たに開発した超塑性発泡法では、完全に焼結した高強度の多孔体を形成できるほか、圧力センサー等への応用も可能です。

(3)東北大学からの発表

「断熱材・蓄熱材を導入した温熱・冷熱保存システムに関する研究」

東北大学大学院環境科学研究科 修士2年 高橋遼

 300℃程度までの高温の熱を貯蔵するため、高性能な金属製の真空断熱容器を開発しています。真空容器内の輻射熱伝達を低減するためのアイデアや、現在取り組んでいる実験の概要等を発表していただきました。

 

「セラミックスコーティングのシミュレーション研究」

東北大学大学院環境科学研究科 産学官連携研究員 寺坂宗太

 ジェットエンジン部品を高温から守るため、多孔質セラミックコーティングが用いられていますが、熱の影響により気孔が徐々に減少し劣化していきます。そのような劣化現象をシミュレーションにより把握するため開発した先端的な有限要素法を紹介していただきました。

 

「生体材料と水酸化アパタイトの研究」

 東北大学大学院環境科学研究科 准教授 上高原理暢

セラミックス(水酸化アパタイト)は人工骨等の生体材料に利用されています。新たに開発した水熱合成による水酸化アパタイトは、既存の焼結合成したものに対し生体内で骨と一体化しやすいなどの利点が多く、今後の活用が期待できます。


上高原准教授による発表
2.見学会(出席13名)
(1)さとうみファーム

 南三陸町の「一般社団法人さとうみファーム」を見学しました。今まで廃棄されていたわかめの茎の部分を飼料にした羊の飼育のほか、子供の遊び場作り、カヤック教室、漁業支援などを行っています。地域貢献や自然を生かしたライフスタイルなどを経営理念として震災後に起業し、地域の活性化に力強く取り組まれている姿に心を動かされました。


羊の飼育の様子

昼食は羊肉BBQ
(2)南三陸さんさん商店街

 震災後8mほどかさ上げされた高台の造成地に造られた商店街で、飲食店や土産店の28軒が軒を連ねています。周辺ではまだ造成工事が進められていました。


商店街から見渡した周辺の状況

(中央に小さく見えるのが震災遺構の防災対策庁舎)
(3)南三陸BIO(ビオ)

 アミタ株式会社が事業主体のバイオガス施設で、地元で発生した生ごみやし尿汚泥を発酵させてバイオガスと液体肥料を作っています。バイオガスは発電に用いて主に施設内で活用しています。見学後、賢材研メンバーの岡田治氏(ルネッサンスエナジーリサーチ)に「CO2選択透過膜の開発とその応用」と題して、分離膜を使った脱炭酸プロセスに関する講演をしていただきました。今後、バイオガス施設での実験を予定しており、バイオガス中のCO2濃度を減らせれば、安価なエンジンが使用可能となりコストダウンが期待できます。


バイオガスプラント

岡田氏による発表
3.意見交換会
 学術技術交流会終了後、仙台駅付近に場所を移して意見交換会を行いました。吉岡教授をはじめご講演いただきました東北大学の皆様と賢材研メンバーによる活発な意見・情報交換を行いました。
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