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活動情報
2021/01/12
2019年度 第3回学術技術交流会報告 11月7日〜10日 鹿児島県沖永良部島

 2019年11月7日から10日にわたり鹿児島県の沖永良部島で開催した2019年度「第3回学術技術交流会@沖永良部島」の概要を紹介します。(参加者26名)

 今回は、「ローカルが豊かになるための自立社会の創成をめざした取り組み、ライフスタイル、エネルギー等の観点から新しいシステム展開への可能性」について、賢材研究会と島人たちと自然の中で提案・議論を行いました。


1.沖永良部島の自然
@昇竜洞
昇竜洞は全国鍾乳洞九選の一つで、鹿児島県の天然記念物に指定されています。約30分かけて昇竜洞の一部600mほどを歩きました。沖永良部島は隆起珊瑚礁の島で、雨水が琉球石灰岩を侵食し、何万年もの歳月をかけて作られた鍾乳洞が数百のオーダーで存在します。
A半崎
島の東シナ海側の中央に位置する断崖絶壁の景勝地で、眼下にはウミガメが観察できました。季節によっては沖合に子育て中のザトウクジラが見られるとの事です。
B越山公園
島内第二の越山(標高188m)の頂上は公園になっています。展望台は東側に開けており、空港方面の島の尖った形がしっかりと見て取れました。
C田皆岬
島の最西端に位置し、灯台が行きかう船舶の安全を見守っています。この田皆岬も半崎と同じく断崖絶壁で、その高さは51mとの事でした。

昇竜洞入口(@)
2.沖永良部島の産業・くらし

D花卉農家(外山氏圃場)
島の土壌・気候を活かしたエラブユリの栽培農場を見学しました。冷蔵コンテナを利用し、本土への流通経路を確立して栽培農家の収入を安定化する取り組みを進めています。
E新納酒造
新納酒造では奄美黒糖焼酎「天下一」や「をちみず」などを生産・出荷しています。仕込み量が少なく、大半は島内にて消費されるため、本土での入手は困難で、その貴重な焼酎を味わうため、数年前にはソムリエの田崎真也さんも訪れたとの事です。
F沖永良部漁協
本土では見かけない島近海で漁獲される珍しい魚が並ぶセリを見学しました。中でもソデイカという1m超えの大きなイカが名産との事です。前日は100匹以上の水揚げがあったらしいですが、当日は海の状況が悪く、ゲソのみセリにかかっていました。
G沖永良部きのこ株式会社
きくらげの生産販売を手掛けており、事務所で社長から説明いただいた後、サトウキビの絞りかすを粉砕発酵させる工程や、その菌床に島内各所より厳選された菌株を衛生・温湿度管理の整った培養室にて栽培して生産出荷している工程を見学しました。
H神里ファーム(黒毛和牛 畜産農家)
黒毛和牛を育てている神里ファームを見学しました。説明頂いた要氏は、当初アルバイトで手伝ううちに牛に魅了され、ご自分でも生産を開始したとの事でした。訪問時に獣医さんの往診が偶然あり、島内の酪農に関するいろいろな話を聞くことができました。
Iザ・ログインタラソ(複合商業設備 建設中)
海を臨む景色の良い土地にお洒落なカフェ、レストラン、コテージホテルを建設している現場を見学しました。広い施設の中に教会を模した可愛いウェディングフォトスポットもあり、ゆったりと時間を楽しめます。建築中のログハウスコテージは東日本大震災後の福島県内の仮設住宅を安価にて引き受け移築しています。
Jうじじきれい団 小学生三姉妹によるウジジ浜でのゴミ拾い活動
島で暮らす家族の小学生三姉妹が、近所の砂浜に大量のペットボトルやゴミが流れ着くことに疑問を持ち、自主的に清掃ルールを決め、毎日ゴミを集めながらどのようなゴミがどこから流れてくるのか?など根気よく統計を取っている活動し、情報発信しています。このうじじきれい団の活動は多くのメディアに取り上げられています。
K石田秀輝先生邸 「酔庵」
建物は西向きに海を臨む広大な庭を控えた平屋造りで、床には湿度調整タイルを敷き、電力は太陽光発電や同温水利用等を有効に活用し、ゼロエネルギー住宅を実現しています。また、排出する生活ゴミは分別後土壌の肥料として完全リサイクルして作物を育てているとの事でした。「酔庵塾」として島の方々の「子や孫が大人になった時にも笑顔あふれる美しい島つくり!」の学習の場としても活用されています。
L世之主の墓
15世紀頃の琉球王朝時代この島を納めた「世の主加那志(ヨノヌシガナシ)」の琉球式墓を見学しました。この墓は岸壁を掘りこんで骨を安置するトゥール墓です。


ザ・ログインタラソ(I)

うじじきれい団(J)
3.資源・エネルギー
M地下ダム
集水井(しゅうすいせい)の一つである余田揚水機場の地下ダムを見学しました。この事業は国営かんがい排水事業で、島全体の分布する琉球石灰岩の隙間に浸透した雨水がそのまま海に流れ出ないように、最大地下50m、総延長2,670.3mにも及ぶ止水壁を建設し、そこに溜めた地下水利用をする事業です。集水井の水面近くまで降りて見学し、その後、工事中の現場に移動し、本計画と規模の大きさに目にしました。建設費は公費で賄っているが、竣工後の維持費をどうするか今後の課題との事でした。
N九州電力新知名発電所
島内唯一の内燃力発電所を見学しました。九州電力は離島での電力供給に重油を原料にする内燃力発電設備を多数保有しています。制御室で発電所のシステムや燃料供給等の説明を受けたのち、この度新設されたV16ディーゼルエンジンを見学しました。
4.「西郷どん」関連
ONHK大河ドラマ「西郷どん」ロケ地
幕末の志士・西郷隆盛を題材にした2018年のドラマで、奄美大島と沖永良部への島流しのシーンを撮影したロケ地を見学しました。ロケに使われた建物は、台風などの被害を避けるため、西郷南洲記念館や西郷どん村に移築されています。
P西郷南洲記念館・南洲神社・西郷どん村
記念館長に説明いただき、西郷隆盛が島流しになり瀕死の状況下、見張りの役人が薩摩藩の沙汰に従いながらも頓智交じりの解釈をし、必死に助け励ました事で生きる希望を見出し、のちの倒幕につながった経緯などを教えていただきました。また、歩いてすぐの南洲神社や大河ドラマのロケ地から移築された牢屋等のセットが並んでいる西郷どん村を見学しました。
以上
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